『小金井通信』 2026年3月
●金融庁、2月26日に『第69回金融トラブル連絡調整協議会』開催
(取材・小柳博之)
金融庁は2月26日15時から、中央合同庁舎第7号館15階1518会議室(オンライン併用)で『第69回金融トラブル連絡調整協議会』を開催。討議に先立ち、事務局は配布資料〈1-1令和7年度上期指定紛争解決機関の苦情処理手続き実施状況、1-2令和7年度上期指定紛争解決機関の紛争解決手続き実施状況、1-3令和7年度上期指定紛争解決機関の紛争解決等業務実施状況、2-1業界団体における相談・苦情・紛争の件数(平成27~令和6年度)、2-2指定紛争解決機関における相談・苦情・紛争の金融商品の内訳(令和6年度)、3利用者にとって納得感のある手続き実施に向けた指定紛争解決機関の取り組み、4-1令和7年度上期「金融サービス利用相談室」における相談等の受付け状況等、4-2「金融サービス利用相談室」における相談件数の推移、5金融ADR連絡協議会(議事次第)〉に基づき概要説明を行ったのち、①各指定紛争解決機関の業務実施状況(令和7年度上期)、②利用者にとって納得感のある数段実施に向けた指定紛争解決機関の取り組み、③「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付け状況等、④「金融ADR連絡協議会(第44回・45回)」について討議した。
全銀協、生保、損保、保険オンブズマン、少短など8指定紛争解決機関の令和7年度上期の苦情処理手続き実施状況によると、①苦情処理手続き受付件数は8機関合計で6261件/対前年同期比6%増加。機関別では、全銀協は658件/1%増、生保協会は860件/13%減、損保協会は4121件/12%増、保険オンブズマンは93件/3%増、少短協会は18件/50%減、FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)は481件/14%増。
②紛争解決手続き実施状況(令和7年度上期)は8機関合計で1305件、前年同期比4%減少。全銀協は81件/43%増、生保協会は433件/25%減、損保協会は638件/14%増、保険オンブズマンは10件/44%減、少短協会は14件/44%減、FINMACは124件/28%減。
指定紛争解決機関の小松雄一生命保険協会生命保険相談所室長、森脇隆正日本損害保険協会損害保険相談・紛争解決サポートセンター本部長、種村 尚保険オンブズマン専務理事、大槻正志日本少額短期保険協会事務局長ら8氏は、金融ADR制度が利用者保護の観点から構築されたこと、また中立・公正性を確保し、利用者の手続きに対する納得・信頼感が得られるよう努めることが肝要であり、さらに利用者の納得感が得られているかなどを把握し、業務の改善に繋げる取り組みを進めるよう求められることを踏まえ、手続き実施の質的向上に繋がるよう取り組んでいる旨を報告した。
損保協会は、【苦情処理手続において、利用者の理解・納得を促すために工夫している取り組みについて教えてください】との問いに対して「当センターでは、お客さま対応の基本方針・行動指針に基づき中立・公正な立場で①お客さまの話しを傾聴する、②先入観を持って対応しない、③専門用語はなるべく使用せずに平易な言葉で説明することを徹底し、これらの対応についてマニュアルに定めるとともに、相談員の指導・育成に当たって基本的事項と位置付けている。
また、苦情解決手続きについては、マニュアルでお客さまの権利を尊重した対応が求められる旨を明記のうえ、留意点として、相談員は日々これらの内容に沿った応対を実践している。①論点・争点を整理した上で、申し出内容及びお客さまの意向を踏まえた対応・アドバイスを行う(㋐話をよく聴く。㋑必要な情報を聴き出し、言い分を的確に聴き取るコミュニケーションの中で、適切に論点・争点を整理する)。
②お客さまから不満足の表明があったときは、お客さまにおいて論点・争点が明確に整理できていない場合も含めて、原則として苦情解決手続きを案内する。
③お客さまが苦情解決手続きを希望した場合は、速やかに苦情解決手続きを開始する。論点・争点とは、例えば保険金支払いに関する相談であれば、㋐支払いの有無ではなく、㋑支払われない理由は何かである、㋒支払われない理由が保険料の不払いによるものか、㋓免責条項に該当しているものか、㋔被保険者の範囲に該当しないため請求権がないものかなど、保険金が支払われるために解決するべき事項は何かを指す」と報告した。
【紛争解決手続きにおいて、利用者の理解・納得を促すために工夫している取り組みについて教えてください。(スムーズな手続きのために工夫している点等)】との問いに対して「相談・苦情対応及び苦情解決手続きを行う相談チームと紛争解決手続きの申し立てがなされた以降の対応を行う紛争チームとの間に、紛争解決手続きの申し立てに向けて相談に乗ったり、留意点を説明したり、申し立て所の書き方や必要資料の説明を行ったりする専任の紛争案内係を据え、紛争解決手続きの申し立てを行おうとする方への的確なアドバイスやサポートを行うことを通じて、円滑な紛争解決手続きの実現を図っている。
当センターの紛争解決手続きは、次の3種類に大別できる。
㋐一般紛争(契約者又は被保険者からの申し立て)、㋑交通賠責紛争(交通事故等の被害者からの申し立て)、㋒地震紛争(地震保険の損害認定を巡る被保険者からの申し立て)
紛争解決手続きでは、紛争解決委員の判断で当事者からの意見聴取が実施されるが(保険金の額が争点である交通賠責紛争は原則意見聴取を実施する)、多種多様な事案が申し立てられる一般紛争の意見聴取に関しては、和解案提示に向けた紛争解決委員の心証形成目的に限らず、和解案の提示が難しい事案の場合でも、審査会での論議過程を直接説明することを通じて申し立て人の理解や納得感を得る目的で実施されるケースがある」と報告した。

