『小金井通信』 2025年6月26日

●金融庁、6月25日開催の『第55回金融審議会総会・第43回金融分科会合同会合』で「暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討」など4つの諮問事項について審議し、『暗号資産制度に関するワーキンググループ(仮称)』など4つのワーキンググループの設置を了承した。
(取材・小柳博之)

 金融庁は、6月25日10時から中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室及びオンライン形式で『第55回金融審議会総会・第43回金融分科会合同会合』を開催した。
 加藤勝信金融担当大臣は席上、神作裕之金融審議会会長に対し、金融庁設置法第7条第1項第1号規定に基づき同日付で①暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討(国内外の投資家において暗号資産が投資対象と位置づけられる状況が生じていることを踏まえ、利用者保護とイノベーション促進の双方に配意しつつ、暗号資産を巡る制度のあり方について検討)/②不公正取引規制の強化等に関する検討(昨今の資本市場を巡る諸問題を踏まえ、我が国市場の公正性・透明性に対する投資家の信頼を確保し利用者保護を図るとともに、市場機能が十全に発揮されるよう不公正取引規制の強化等について検討)/③企業情報の開示のあり方に関する検討(スタートアップ等の資金調達ニーズの高まり、非財務情報の開示の拡充等、情報開示を巡る環境変化を踏まえ、投資判断に資する企業情報の開示のあり方やその実現に向けた環境整備について幅広く検討)/④地域金融力の強化に関する検討(地域における趨勢的な人口減少その他の環境変化の中で、地域金融機関等が地域経済に貢献する役割を十分に発揮できるように地域金融力の強化に必要な方策について検討)するよう諮問した。
 ①暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討は、2025年1月時点で日本国内における暗号資産の利用者口座は延べ1214万口座、預託金銭高約5兆円に上ることに鑑み、伝統的に金商法が対処してきた問題と親和性があることを考慮し、暗号資産が株式等の典型的な有価証券と異なる特性を有することを踏まえ、適切なフレームワークを検討する必要があると判断し『暗号資産制度に関するワーキンググループ(仮称)』を設置する。
 ②不公正取引規制の強化等に関する検討は、証券取引等監視委員会による不公正取引等に関する調査の過程で近年、不正と考えられるものの既存の法令では違反行為として補足できない事例や、違反行為として補足できるかが課徴金の額が低く、抑止効果として不十分な事例等がみられることに対処するため、不公正取引規制の強化や資本市場を巡る諸問題を踏まえた課題について検討する必要があると判断し『市場制度ワーキンググループ(仮称)』を設置する。
 ③企業情報の開示のあり方に関しては、㋐有価証券届出書の提出免除基準、㋑虚偽記載等に対する責任のあり方(セーフハーバー・ルール)、㋒その他の検討事項に関する検討を行う必要があると判断し『ディスクロージャーワーキンググループ(仮称)』を設置する。
 ④地域金融力の強化に関する検討は、趨勢的な人口減少その他の環境変化の中で地域が持続的に発展していくため、地域金融には有望なプロジェクトへの資金供給や、幅広い金融仲介機能を発揮し地域経済に貢献する力の一層の発揮が求められるとともに、その役割を十分に発揮できるための環境整備が必要なため『地域金融力強化に関するワーキンググループ(仮称)を設置する。
 ①のワーキンググループ座長は森下哲朗上智大学法科大学院教授、②・③のワーキンググループ座長は神作裕之学習院大学法学部教授、④のワーキンググループ座長及び4つのワーキンググループのその他のメンバー、それぞれのワーキンググループの名称は神作裕之金融審議会会長に一任した。

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