『小金井通信』 2025年4月 ◆「月刊ライト」2007年9月号
【アーカイブ】「月刊ライト」2007年9月号
「あしたの保険販売」
高橋亜紀央ワールドサービス会長に聞く
ワールド保険代行は、ブローカー志向で昭和41年(1966)に設立された保険代理店。〝保険の流通革命は必ず起きる〟が創業の精神だが、わが国でブローカーが日の目を見たのはその30年後。1996年の改正保険業法施行まで待たなければならなかった。
昭和43年に鉄鋼商社からワールド保険代行に転職した高橋亜紀央(たかはし・あきお=昭和16年10月生まれ、65歳)さんは、昭和52年2月から社長を務め、現在は持株会社ワールドサービス会長。ワールドインシュアランスサービスは傘下の保険ブローカー。
高橋氏は平成4年(1992)、会員数100社を超すブローカー団体「JIB(JAPAN Insurance Brokers)」を設立した。ところが、わが国のブローカー市場は、商社・銀行系の一部ブローカーが活路を見出したものの、いわゆる独立系は窮地に追い込まれ、JIBは紆余曲折を経て今年(2007)2月に解散した。
ワールド保険代行は創業当初から、企業分野一本で保険募集を行ってきた。しかし優良企業が企業内代理店を立ち上げるケースは珍しくなく、同社の40年は〝企業内代理店との競争〟の歴史だったと言える。実は、昭和49年に海外PL保険と出会い、これが転換点。米国のPL事情を参考に、保険引き受けを開始したことが経営基盤の確立に繋がった。(取材・構成=編集部・小柳)
「様々な工業会や組合との出会いがありました。そして第一号は、昭和50年の自転車輸出組合の団体契約です」
わが国の自転車産業は、その後斜陽を迎え、自転車の海外輸出は今ではほとんど考えられない。
「自転車輸出組合の次は、工作機械をはじめとする産業機械関係の工業会との団体契約です」
工作機械の団体契約は、昭和52年頃から始まった。
「工業会は、企業グループの枠を超えて企業が加盟しています。ですから、特定の企業内代理店を通じて契約した場合、契約情報やクレーム情報が他所の保険代理店に入ってしまいます」
工業会の団体契約は、独立性が必要だった。
「こうした工業会の実態は、徐々に分かってきました。こうして産業機械を中心に団体のPL保険を手掛けるようになりました」
契約先は現在、30数団体に及ぶ。
「輸出関連保険の場合、英文の保険証券を発行します。ですから、誰もが取り扱えるわけではありません。2年ほど前から、グループ取引信用保険にも力を入れています」
とはいえ、ワールド保険代行・大阪では、創業時から歯科医師会がメイン・マーケツト。
× × ×
「PL保険と出会ったこと、またマーケットをセグメントできたことで今日に至っています」
マーケットを確立し、他社との競争を排除したことが成功要因だった。
「国内PLは、PL法が施行した平成7年7月以降一気に火がつきました」
日本国内でPL法が整備されたことにより、業務の裾野はさらに拡大した。
「ワールド保険代行・東京では、印刷機械や建設機械など産業機械全般のニーズが高まっています」
ワールド保険グループは60名弱の人員規模、手数料収入では8億円ほど。
「営業拠点は、東京、大阪、神戸、岡山、下関の5か所です。このほか、サンフランシスコには駐在員がいます」
かつて岡山で大きな事故があった。この時代、請負業者賠責は一般にはあまり普及していなかったが、岡山のある事業者からオファーがあった。そして、これが契機となり岡山へ拠点を配置した。
「当然のことですが、今は請負業者賠責保険以外も引き受けています」
30年来の付き合い。
「ワールドサービスは、経営戦略を練る会社です。昨秋、営業の第一線から退き、ワールドサービス会長に就きました」
例えば、東京で実施している先行事例が地方でできないことがある。
「グループとしての一体感を出し、各地のばらつきを解消するには、持株会社方式による事業運営がよいと思いました」
保険販売はどちらかと言えば、属人化している。これを会社全体でフォローアップする体制への移行だった。
「人を進歩させするには、またモチベートさせるには、いったいどうあるべきか。この支援体制や評価基準を明確化することは大切です」
社員の気持ちがしぼまないよう腐心する。
「一人当たり手数料を2000万円規模に拡大することが当面の目標です」
この数年で10名ほど社員を増員した。
「先行投資ですが、会社の利益も増収しています」
ワールド保険代行の特長は、団体契約や企業分野への特化だった。
「東京の場合、自動車保険は10%以下です。企業の安全担当者へのアドバイスが主体ですから、クレームサービスのロードは最小限です」
自動車保険をメインとする保険代理店に比べると、クレームサービスの煩雑さは格段に少ない。ただし、1事故当たりの支払い額が大きいことは言うまでもない。
× × ×
「当社の創業は、保険の流通革命が狙いです。したがって、ブローカー制度の施行に合わせてJIBを立ち上げました」
全国のブローカーをネットワーク化する一方、国際性を採り入れようと考えた。
「JIIという組織を作り、教育研修に力を注ぎました。また、独自商品の開発にも取り組みました。しかし、会員個々の取り組みは稀薄でした」
初期のJIBは、様々な情報に溢れ、またアクティブでもあり、その存在感を示していた。
「会員は、自社の事業を進捗しなければなりません。ですから、悩みや葛藤もあったと思います」
個社の経営実態を明らかにすることなど、JIBの事業は公明正大でなければならなかった。しかし、クリアできなかった。
「これは、日本保険仲立人協会も同様ですが、例えば財務局に報告する財務諸表について、JIBは一切把握していません」
個社の経営実態を把握しなければ、具体的な戦術は立たない。
「どの保険会社といくら取り引きするかといった、ごく初歩的なアクションが起こせません」
結局、夢や理想は夢や理想のままに潰えた。
「JIBに参画し、新たな経営形態へと変更したブローカーはそうたくさんないはずです」
櫛の歯が欠けるように仲間は去っていった。こうして存続の意義を失ったJIBは解散を余儀なくされた。
「1996年の保険業法改正により誕生したブローカー制度ですが、JIBは一定の役割を果たしたと思います」
そして、今また新たな目標に向かって走り出した。
「IIABA(米国独立エージェント&ブローカー協会)日本を今春5月に設立しました。IIABAは会員2万4000社、雇用者30万人が加盟する団体です」
IIABJ(日本)は、この海外第一号として認められた。米国の保険代理店は、満期更改権が認められているが、わが国では認めていない。
「ウィリアムR.バークレイW.R.バークレイ・コーポレションCEOは、日本市場に参入するにあたって、IIABJ会員に満期更改権を認めると約束しています」
金融庁は、果たしてどういった判断を下すか。すでに、わが国に進出の数社も賛同の意向である。
「ワールド保険代行では、例えば米国で発生する保険証券との整合が必要ですから、IIABJ会員となり米国内の情報を得られることは大きなメリットです」