『小金井通信』 2024年10月
●金融庁、10月16日13時から金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」第2回会合を開催
(取材・小柳博之)
金融庁は10月16日13時から15時半まで、中央合同庁舎第9号館9階905B共用会議室及びオンラインで金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(座長・洲崎博史同志社大学大学院司法研究科教授)の第2回会合を開催した。
今回は事務局説明に引き続き、金融庁金融研究センター研究プロジェクトの特別研究員・中出哲早稲田大学教授の現状報告『監督当局及び保険会社による代理店管理の在り方』ののち討議を行った。
その後、平賀暁日本保険仲立人協会理事長が保険仲立人協会概要等(①保険仲立人とは? ②保険仲立人活用のメリット ③保険仲立人の活用促進に向けて)について説明する予定だったが、2時間半の審議時間が尽きたため、YouTube配信は同氏のプレゼンの冒頭数分で終了。次回から保険仲立人の活用に向け討議する手順に禍根を残した。
事務局が今回提示した議事次第は、①Ⅰ.現在の精度の外観等、②Ⅱ.保険募集人に関する規制の見直し【1.今般の保険金不正請求事案を踏まえた課題と主な論点等 2.保険金関連事業を兼業する保険代理店への対応 3.大規模な(乗合)保険代理店への対応 4.その他の対応 5.今般の保険金不正請求事案を踏まえた対応の方向性(小括)】など。
事務局は、3.大規模な(乗合)保険代理店への対応として、内閣府令で特定保険募集人と定める450社程度を対象に乗合保険会社15社以上或いは乗合保険会社2社以上かつ手数料収入10億円以上を条件として『特定大規模乗合保険募集人』(仮称)の創設する旨を提案した。
また、特定大規模乗合保険募集人における保険募集に関する内部管理体制及び兼業に伴う弊害防止に関する管理体制を強化する観点から、体制整備義務を強化するべきか。保険金不正請求事案の再発防止を徹底する観点から、求めるべき体制整備はあるかと問い掛けた。
各委員は、自説を提示し活発な議論を展開した。小林委員は「内部管理体制の強化策としての『特定大規模乗合保険募集人』の創設は不要である。提出義務のある事業報告書の内容を見直し対処するべき。インターネット型保険の普及など多様化している保険募集に照らし合わせてると、不特定多数向け保険を取り扱う代理店とオーダーメイド型保険を扱う代理店を区分して考えるべき」と意見具申した。
柳瀬委員は「ルールはないのが好ましい」と前置きしたうえで、今回の保険代理店を巡る不正問題について、童話『北風と太陽』を引き合いに「モニタリング強化は北風、インセンティブ(手数料)は太陽の関係である。北風と太陽のどちらが有効かを考えるべき。大規模(乗合)代理店と兼業代理店のどちらを優先するかについても議論するべき。15社手数料10億円の基準を設けると、14社はグレーゾーンになる。業務品質の高い保険代理店にインセンティブを与えるのが妥当ではないか」と提案した。
ワーキング・グループのメンバーは13名。上杉東京経済大学現代法学部教授/大村三浦法律事務所弁護士/沖野東京大学大学院法学政治学研究科教授/小畑一般社団法人日本経済団体連合会経済基盤本部長/片山日本労働組合総連合会総合政策推進局経済・社会政策局長/神作学習院大学法学部教授/小林ANAホールディングス社外取締役/嶋寺 基大江橋法律事務所弁護士/滝沢デロイト・トーマツ・コンサルティング執行役員/中出早稲田大学商学学術院教授/松井東京大学大学院法学政治学研究科教授/柳瀬慶應義塾大学商学部教授/山下京都大学大学院法学研究科教授。