『小金井通信』 2026年2月
●金融庁、2月3日開催の『第56回金融審議会総会・第44回金融分科会合同会合』で、㋐「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」報告、㋑「暗号資産を巡る制度に関するワーキング・グループ」報告、㋒「市場制度ワーキング・グループ」報告、㋓「サスティナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」報告、㋔「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告など5つについて論議し、報告書を取りまとめた。
(取材・小柳博之)
金融庁は、2月3日9時半から中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室及びオンライン形式で『第56回金融審議会総会・第44回金融分科会合同会合』を開催した。
金融担当大臣(代読)は冒頭、「昨年6月開催の『第55回金融審議会総会』の席上、加藤勝信金融担当大臣は①暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討/②不公正取引規制の強化等に関する検討/③企業情報の開示のあり方に関する検討/④地域金融力の強化に関する検討するよう諮問したことを受け、その後設置した①地域金融力の強化に関するワーキング・グループ/②暗号資産を巡る制度に関するワーキング・グループ/③市場制度ワーキング・グループ/④サスティナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ/⑤ディスクロージャーワーキング・グループの検討結果に基づく審議を経て、金融審議会報告を取りまとめる」旨を示唆した。引き続き議事に入り、神作裕之金融審議会会長は事務局に対し、5つのワーキング・グループ報告の概要説明を行うよう求めた。
横山信用制度参事官は①の概略について、齋藤市場課長は②③の概略について、小長谷企業開示課長は④⑤の概略について説明を行い、こののち論議した。今総会の主たる論点は、①の「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」報告だが、出席した13委員は①~⑤の報告についても概ね好感し、特段異論は出なかった。
神作会長は議論を尽くした11時過ぎ、5つの報告を金融審議会報告書として了承する旨を参加メンバーに提案し、全会一致で了承した。併せて、同会長は、同日13時から会見室で記者レクを行う旨を告知した。
「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ(座長・家森神戸大学経済経営研究所教授)」報告の概要は、■人口減少・少子高齢化その他の環境変化に直面する地域が持続的に発展を目指す中で、地域金融の地域経済に貢献する力(=「地域金融力」)への期待は極めて強い。■①地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決、その前提となる/②地域金融力発揮のための環境整備の両面から、地域金融力の強化に必要な方策について審議を行い、以下の通りまとめた。
①地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決
1.内外のプレイヤーとの連携を通じた中堅企業への成長支援
2.M&A・事業承継や経営者等の人材確保の支援
3.円滑な事業再生等に向けた支援の促進
4.企業価値担保権も活用した事業性融資の推進
5.スタートアップ企業等の成長企業の資金調達支援:ベンチャーデット等に関する金融検査・監督の具体的な考え方を示す
6.経営者保証に依存しない融資の促進:監督指針を改正し、金融機関や事業者の行動変容を一層拡大
7. 地域企業へのDX支援の推進
8. 地域課題の解決:地域金融機関による地域課題の解決に資する以下の取り組みを推進⑴ローカル・ゼブラ企業等へのインパクト投資の推進/⑵地域金融機関の官民連携のまちづくりへの参画/⑶農林水産分野における課題解決に向けた関係省庁との連携の推進/ ⑷過疎地における顧客サービス維持に向けた取り組みの推進/⑸地域における資産形成や金融経済教育における貢献
9. 地域金融機関による地域活性化の取り組み事例の共有と活用:地域活性化の取り組みに関する事例集を取りまとめるとともに、関係者が連携して知恵を出し合う場を創り、こうした取り組みを促進する
10. 投資専門会社を通じた資本性資金の供給の促進:投資専門会社の出資に関する要件について、さらなる緩和・明確化を検討する
②地域金融力発揮のための環境整備
1.地域金融機関の業務効率化・負担軽減に向けた取り組み:複数の金融機関による、内部監査の共同化のための方策の検討や、システムの合理化・持続化等のための共同利用の推進
2.金融機能強化法の資本参加制度・資金交付制度の期限延長・拡充等⑴資本参加制度の期限延長・拡充/⑵資金交付制度の期限延長・拡充/⑶優先出資の消却方法の弾力化:協同組織金融機関に対する優先出資を行いやすくするため、債権者保護手続の整備とあわせて優先出資の消却方法を弾力化
3.その他の環境整備⑴早期警戒制度の見直し/⑵モニタリングの強化等:地域金融機関に対するモニタリング体制を抜本的に強化/⑶地域金融機関における業務改改善の取り組み(生成AI導入、兼業・副業)
佐古委員(早稲田大学理工学術院教授)は同質疑の中で、「高齢者の預・貯金を狙う詐欺等が横行する現状に照らし合わせると、現行の4ケタの暗証番号制度は脆弱にほかならない。4ケタ超の複雑化した暗証番号制度へ移行するべき」と指摘し、社会情勢の変容に柔軟に対応するよう求めた。
因みに、「暗号資産を巡る制度に関するワーキング・グループ」の報告では、銀行・保険会社における取り扱いにも言及し、「□銀行・保険会社本体による暗号資産の発行・売買等は、引き続き慎重な検討が必要。投資目的での暗号資産の保有は、十分なリスク管理・態勢整備等が行われている場合には認める/□銀行・保険会社の子会社については、今般の金商業規制の下、暗号資産の発行・売買等も可能とする」と規定している。

